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第3回「社会的ひきこもり支援者全国実践交流会」IN京都 [行ってきました(♪あんだんて♪レポート)]

第3回「社会的ひきこもり支援者全国実践交流会」IN京都「語ろう、学ぼう、築こう援助の哲学と倫理、方法」に参加した。
会場は、北海道から九州まで遠方からさまざまな支援機関の人が来ていて、シンポジウムの会場でも、分科会でも活発な意見交流がおこなわれた。そこにひきこもり問題を糸口にして、人間の尊厳を守る社会になるようにと、地味な活動をつづけている世の中のひとつの流れを見る思いがした。

シンポジウム「現代社会と若者の尊厳」
このテーマについて春日井敏之さん(立命大教授)は、「社会的ひきこもりの青年の課題や支援に関るときに、若者全体の尊厳があまりにも踏みにじられているような現代の社会的状況に行き当たる」「これは、若者だけでなく子どもから大人までが、憲法に定められた人間としての尊厳を傷つけられ、生きづらくなっている社会状況とも重なってきます」と言っている。
以下、パネラーの方の発言の一部を要約。パネラー・宮崎隆志さん
現代のキーワードは、「生きづらさ」であるとし、社会的ひきこもり、非行、ホームレス、自殺・・・これらの現象の共通項は「孤立・無縁」である。たとえば、非行少年の半数以上が被虐待者であり、社会的ひきこもりのうち、いじめを経験した者55%、職場での人間関係のトラブルを経験した者が41%にのぼり、学校や職場で孤立化していたことが伺われる。そうした状況の中で「ひきこもりシステム」が作動し、本人のみならず家族も孤立化していき事態を深刻にしていく。ホームレスが社会関係の喪失であることはすでに指摘されている。
こうした状況は、現代社会に「“溜め(Capacity)“の喪失」、溜めとは、「人を包み、外界の刺激からその人を保護するバリヤーのようなもの」と規定して、溜めのない状態のなかで「意欲の貧困」が現れる。「何をしたって変わらない」と思える場合、意欲をもつことは難しい。状況に変化がないということは、働きかける対象が剥奪されることであり、主体の自己喪失を意味する。孤立化はこのような状況で生じる。
社会的ひきこもりの若者の中には、フリーター生活を続けた後に、言い知れぬ不安や焦りに襲われ、身動きできなくなったものも少なくない。学校での孤立感に耐えた後で、意欲を喪失した者も多い。孤立化は、対象と活動の剥奪の結果である。「孤立」は、人間の基本的な欲求である「安心・安全」の欲求を脅かす。孤立にまでいたる過程で本人が喪失したすべてのものを徐々に回復するための時間が必要とされている。

パネラー 高垣忠一郎さん
日本国憲法の目的は第13条「すべて国民は、個人として尊重される・・・」に集約される。生命、自由、幸福追求の権利は最大限に尊重されなくてはならない。この13条の実現するという目的にかなってこそ、「個人」に寄り添うカウンセリングが社会的承認を得る理由がある。
「自己肯定感」とは、「自分が自分であって大丈夫だ」という存在レベルで自分を認める感覚。社会やだれかの役に立つことで得られる「自己効力感」や「自己有用感」をもつこともいいが、その前に自分の存在が周囲に承認されており、自分とともにいることに多少なりとも喜びや幸せを感じてもらえているという手ごたえをまず感じること、そこから備わってくる「自己肯定感」を内的資源としてもつことが大切である。「自分はこれだけできるのだ」「自分は人より能力がある。」という意識に依拠する「自己肯定感」は、搾取の対象になりやすい。人間の尊厳に依拠する自尊心は、だれかの役に立つ自尊心ではないはず。
若者を機械やモノのごとく扱う労働環境が、若者達の自尊心を傷つけている。機械やモノは、それを使う人間にとって役に立つかどうかで、その価値が決まる。その機械やモノに期待される機能(能力、特性)に欠陥があれば、存在そのものが否定される。若者が機械やモノのように取り扱われるところでは、若者は「自分の部分」への否定によって、「まるごとの自分」が否定されたかのような経験をする。人間を機械やモノのように扱う労働現場で「お前はだめなやつ」という烙印を押されたとしても、その意味するとことは、使用者にとって都合の良い機能に欠けるということ。にもかかわらず、存在自体を否定されたように自尊心がふかく傷つくとすれば、若者が自分の存在と機能を同一視しているからであり、弱点もダメなところもひっくるめて自分の存在を承認され、肯定される「居場所」や「自己肯定感(自分が自分であって大丈夫)」といった資源に支えられていないからである。
「そのままのあなたでいいんだよ」というのは、単なる言葉ではなく「かけがえのない命をもった存在」に敬意を持つという姿勢である。

テーマ別交流会「思春期の育ちとひきこもり」
発言者として♪あんだんて♪にも声をかけていただいたので、福本が出席させていただいた。
♪あんだんて♪のスタッフや会員さんの子ども達が、元気を回復し自分の足で次のステップへと踏み出す様子をみてきて、母親たちに共通する状況が3つあることから話しをした。
1つは、母親の周囲に理解者がいること
2つめは、親の会など同じ悩みを分かち合える場があること
3つめは、必要な情報がたくさん入ってくること。
K先生は、この3つに共通しているのは、「母が孤立していない」とだとおしゃった。

学校から離脱した子どもを元気にしてあげたいと定年後ボランティアで電話相談している元教師をはじめ居場所、医療機関、カウンセラーといった方たち。遠くは熊本、千葉など各地からこられた70代から20代までの支援者の熱意と肯定的なまなざしに囲まれて、温かいエネルギーをいっぱいもらって帰った交流会だった。 (フェルマータ)
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